
ランニングを終えて心地よい汗をかいた後、ふと「ランニングが終わったあとはどうしたらいいですか?」と疑問に思うことはないでしょうか。次の練習に向けて「走った後にした方がいいことは?」と前向きな計画を立てる一方で、知らず知らずのうちに「ランニング後にやってはいけないことは?」というNG行動をとってしまっているかもしれません。特に部活動や本格的なトレーニングとして陸上走った後のケアは?と、より専門的なリカバリー情報を求めている方も多いはずです。
そこで本記事では、まず優先的に取り組むべき「ランニング後すること」を整理し、セルフケアとして有効なランニング後マッサージの方法や、疲労回復をサポートする便利なランニングケア用品について詳しく解説します。また、美容やスタイルアップに関心がある方に向けて、気になるランニング後ストレッチ脚やせへの期待や、具体的なランニング後ストレッチ効果とランニング後ストレッチ痩せるためのポイントについても触れていきます。さらに、体の内側から修復を促すランニング疲労回復食べ物の選び方や、どうしてもランニング疲労が抜けない時の対処法まで網羅しました。
- 運動直後のクールダウンから帰宅後のケアまで正しい手順と優先順位
- ストレッチやマッサージによる具体的な疲労回復テクニックと脚やせ効果
- 食事や入浴など体の内側から修復を促すリカバリー戦略とNG行動
- 痛みや慢性的な疲れを残さず継続するための休養とケア用品の活用法

ランニング後の筋肉ケアに必要な基礎知識
ランニングが終わったあとはどうしたらいいですか?
ランニングを終えた直後、最も大切なのは「急に止まらないこと」といえます。走っている間、脚の筋肉はポンプのように収縮と弛緩を繰り返し、血液を心臓へと送り返す役割を果たしています。しかし、ゴールと同時に足を止めてしまうと、この筋ポンプ作用が急激に停止し、末梢血管に血液が滞留してしまう恐れがあります。
この状態は、脳への血流低下を招き、めまいや失神(血管迷走神経反射)を引き起こすリスクがあるほか、疲労物質の除去が遅れる原因にもなりかねません。したがって、ランニング終了後はすぐに座り込んだりせず、心拍数が落ち着くまで体を動かし続けることが推奨されます。
ポイント:徐々にペースを落とす
ランニングの最後は、ジョギングからウォーキングへと徐々にスピードを落とし、5分から10分程度かけて心拍数と呼吸を整える「クールダウン」を行いましょう。
走った後にした方がいいことは?基本ルーティン
ランニング後のケアは、時系列に沿って適切なアクションを行うことで、リカバリーの効果を高められると考えられています。基本的なルーティンとしては、運動直後の身体的なケアから始まり、帰宅後の栄養補給、そして休息へと移行します。
以下の表に、理想的なアフターケアの流れをまとめました。
| タイミング | アクション | 目的 |
|---|---|---|
| 運動直後(0〜10分) | クールダウン・ウォーク | 心拍数の正常化、血液循環の維持 |
| 運動後(10〜30分) | 静的ストレッチ・水分補給 | 筋緊張の緩和、脱水予防 |
| 帰宅後(30分〜) | 栄養補給・入浴 | エネルギー充填、筋修復、血行促進 |
| 就寝前 | セルフマッサージ・睡眠 | 筋膜リリース、成長ホルモンによる修復 |
このように、段階を踏んで体を「運動モード」から「休息モード」へと切り替えていくことが、翌日に疲れを残さないための鍵となります。特に運動直後の30分間はリカバリーのゴールデンタイムとも呼ばれ、この時間の過ごし方が回復速度を左右するといわれています。
ランニング後することリストと優先順位
ケアの方法は多岐にわたりますが、全てのランナーが毎回全てのケアを行えるわけではありません。限られた時間の中で最大の効果を得るために、優先順位を理解しておくことが重要です。
優先度「高」:必ず行うべきケア
まず最優先すべきは「クールダウン(ウォーキング)」と「水分・電解質の補給」です。発汗によって失われた水分とミネラルを補わなければ、血液がドロドロの状態になり、回復どころか体調不良の原因となります。また、筋肉をゆっくり伸ばす「静的ストレッチ」も、怪我予防の観点から欠かせません。
優先度「中」:できれば行いたいケア
次に重要なのが「栄養補給」です。特に糖質とタンパク質を摂取することで、枯渇したエネルギーを回復し、損傷した筋肉の修復を早める効果が期待できます。(参照:RUNNET)
優先度「低」:状況に応じて行うケア
アイシングや入念なマッサージは、体の状態に合わせて選択します。痛みがない場合はアイシングよりも温める方が血流促進に有利な場合もあります。
陸上走った後のケアは?強度別のポイント
軽いジョギングと、インターバル走や長距離走のような高強度のランニング(陸上競技など)では、体へのダメージが大きく異なります。そのため、運動強度に応じてケアの手厚さを変える必要があります。
高強度トレーニングの場合
筋繊維の損傷が激しいため、栄養摂取のタイミングと質がより重要になります。運動終了後、可能な限り早い段階(30分以内)でプロテインやアミノ酸、おにぎりなどを摂取し、同化作用(アナボリック)を高めることが推奨されます。また、温冷交代浴などで積極的に血流を促すことも有効です。
低強度・リフレッシュランの場合
リラックスを主眼に置き、入浴でゆっくりと体を温め、ストレッチで心地よく筋肉を伸ばすだけでも十分なケアになります。過度なサプリメント摂取などは必要ない場合もあります。
BCAAの活用
強度の高いランニングを行う場合、運動前や運動中にBCAA(分岐鎖アミノ酸)を摂取しておくと、筋肉の分解を抑え、疲労軽減に役立つという研究報告もあります。(参照:京都大学学術情報リポジトリ)
ランニング後にやってはいけないことは?注意点
良かれと思って行った行動が、逆に回復を遅らせてしまうこともあります。ここでは避けるべきNG行動を紹介します。
注意すべきNG行動
- 完全停止・座り込み:前述の通り、貧血や血流不全の原因となります。
- 過度なアイシング:激しい痛みや熱感がない場合、冷やしすぎると血流が悪くなり、回復に必要な炎症反応まで阻害してしまう可能性があります。
- アルコールの過剰摂取:アルコールは利尿作用による脱水を招くだけでなく、筋肉の合成を阻害し、睡眠の質を低下させるとされています。
- 熱すぎるお風呂:運動直後の体は微細な炎症を起こしています。熱すぎるお湯は炎症を助長させる可能性があるため、ぬるめのお湯かシャワーが推奨されます。

ランニング後の筋肉ケア実践テクニック
ランニング後ストレッチの効果と脚やせで痩せる
ランニング後のストレッチは、単に疲れを取るだけでなく、ボディラインを整える美容面でのメリットも大きいといわれています。多くの女性ランナーが気にする「脚が太くなるのではないか」という不安に対し、適切なケアは「脚やせ」をサポートする味方となります。
ランニング後ストレッチ効果のメカニズム
運動後の筋肉は収縮して硬くなっています。このまま放置すると、筋肉が太く短く固まってしまい、いわゆる「ししゃも脚」の原因になりかねません。静的ストレッチで筋肉を本来の長さに戻し、柔軟性を保つことで、しなやかで細長い筋肉のラインを目指すことができます。また、血流が改善されることで、むくみの解消にもつながります。
ランニング後ストレッチ痩せるためのポイント
「痩せる」というのは脂肪が直接減るという意味だけでなく、むくみが取れてラインがすっきりすることを含みます。特に以下の部位を重点的に伸ばしましょう。
- ふくらはぎ(腓腹筋・ヒラメ筋):アキレス腱を伸ばす動きだけでなく、膝を曲げた状態で伸ばすことで深層のヒラメ筋にもアプローチできます。(参照:コニカミノルタ ランニングプロジェクト)
- 太もも前(大腿四頭筋):片足立ちで踵をお尻につけるストレッチです。骨盤を少し後傾させる意識で行うと、前ももの張りが取れやすくなります。
- 太もも裏(ハムストリングス):足を前に出し、背筋を伸ばしたまま股関節から体を倒します。
ランニング後マッサージの方法とコツ
ストレッチだけでは取りきれない筋肉の「硬結(コリ)」や筋膜の癒着には、マッサージや筋膜リリースが有効です。プロの手を借りるのも良いですが、セルフケアでも十分な効果が期待できます。
筋膜リリースの基本
フォームローラーなどを使用し、筋肉を包む筋膜の滑りを良くします。ポイントは、痛気持ちいいと感じる程度の圧で、ゆっくりと動かすことです。特にランナー膝の原因となる太ももの外側(腸脛靱帯)や、ふくらはぎを入念に行うと良いでしょう。
マッサージを行う際は、心臓から遠い場所から近い場所へ、つまり足先から太ももの付け根に向かってリンパを流すようなイメージで行うと、老廃物の排出がスムーズになりますよ。
便利なランニングケア用品の活用術
効率的にリカバリーを行うために、専用のケア用品を活用するのも賢い選択です。科学的なアプローチを取り入れたグッズは、休息の質を向上させてくれます。
リカバリーウェア
着るだけで疲労回復をサポートするとされるウェアには、主に2つのタイプがあります。一つは「コンプレッション(着圧)」タイプで、適度な圧力をかけて血流(静脈還流)を促し、むくみを軽減します。(参照:バンテリンコーワ公式サイト) もう一つは、遠赤外線効果のある素材を使用し、体を温めてリラックスさせるタイプです。
マッサージグッズ
電動のマッサージガンや、足裏を刺激するボールなどは、深層の筋肉にアプローチするのに便利です。特に足裏のアーチ(土踏まず)をボールでほぐすことは、足底筋膜炎の予防に役立ちます。
ランニングの疲労回復食べ物と栄養摂取
傷ついた筋肉を修復し、エネルギーを再充填するためには、食事の内容が極めて重要です。特に意識すべきは「糖質(炭水化物)」と「タンパク質」の組み合わせです。
理想的な栄養バランス
運動直後は、枯渇した筋グリコーゲンを回復させるために糖質が必要です。同時に、筋肉の材料となるタンパク質を摂取することで、インスリンの働きによりアミノ酸が筋肉に運ばれやすくなります。さらに、エネルギー代謝を助ける「ビタミンB群」や、疲労物質の分解に関わる「クエン酸」も積極的に摂りたい栄養素です。
コンビニで買えるおすすめメニュー例
忙しいランナーでも、コンビニを上手に活用すれば質の高い栄養補給が可能です。
| 組み合わせ例 | 摂取できる主な栄養素 | メリット |
|---|---|---|
| おにぎり(鮭)+ゆで卵 | 糖質、タンパク質 | 手軽にエネルギーと筋肉の材料を補給。 |
| バナナ+ヨーグルト | 糖質、カリウム、タンパク質 | 消化が良く、発汗で失われたカリウムも補える。(参照:マリンバイオ) |
| サラダチキン+パン | タンパク質、糖質 | 低脂質で高タンパクな最強の組み合わせ。 |
ランニングの疲労が抜けない時の対処法
十分なケアをしているつもりでも「体が重い」「だるさが取れない」という場合は、回復システムが追いついていない可能性があります。そのような時は、休養の質を見直す必要があります。
質の高い睡眠の確保
睡眠中は成長ホルモンが分泌され、体の修復が最も活発に行われる時間です。アスリートや定期的に運動する人は、最低でも7時間以上の睡眠が推奨されています。(参照:AZCARE ACADEMY)
アクティブリカバリー(積極的休養)
完全に体を動かさないのではなく、あえて軽く動くことで血流を促し、疲労物質を除去する方法です。翌日に軽いウォーキングや水泳を行うことで、筋肉の張りが解消されやすくなります。
温冷交代浴
お風呂で温まることと、冷水を浴びることを交互に繰り返す入浴法です。「温水3分+冷水1分」を3〜5セット行うことで、血管が拡張と収縮を繰り返し、ポンプ作用によって血行が強力に促進されます。

ランニング後の筋肉ケア完全版!疲労回復と怪我予防の鉄則3選 総括
- 運動直後は急に止まらず、ウォーキングでクールダウンを行う
- クールダウンは5〜10分かけ、心拍数を徐々に落ち着かせる
- 水分と電解質の補給は最優先で行い、脱水を防ぐ
- 静的ストレッチで縮んだ筋肉をゆっくり伸ばし、柔軟性を回復させる
- ストレッチは反動をつけず、息を吐きながらリラックスして行う
- 痛みがある場合を除き、基本的には体を温めて血流を促進する
- 運動後30分以内の「ゴールデンタイム」に糖質とタンパク質を補給する
- コンビニ食品(おにぎり、サラダチキン、バナナ等)を賢く活用する
- ビタミンB群やクエン酸、ミネラル(鉄・マグネシウム)も意識して摂る
- 入浴はぬるめのお湯にゆっくり浸かるか、温冷交代浴を試みる
- フォームローラーなどで筋膜リリースを行い、組織の癒着を剥がす
- リカバリーウェアやマッサージグッズなどのアイテムも有効活用する
- 睡眠時間は最低7時間を確保し、成長ホルモンによる修復を促す
- 翌日に疲れが残る場合は、軽い運動(アクティブリカバリー)を取り入れる
- 痛みや違和感が強い場合は無理せず休息し、必要なら専門医に相談する


