
運動やトレーニングの後、ズキズキと痛む筋肉痛。「痛いけれど、押したり揉んだりすると気持ちいい」と感じた経験はありませんか?
しかし、その一方で「筋肉痛のときにマッサージをすると悪化する」という話も耳にします。実際のところ、筋肉痛はマッサージしたほうがいいですか?と多くの方が疑問に思っています。筋肉痛は揉んでもいいですか?という問いや、そもそも筋肉をもみほぐすとどんな効果があるのか、その気持ちいい理由について知りたい方もいるでしょう。
この記事では、筋肉痛を揉むと気持ちいいのはなぜかという基本的な疑問から、筋肉痛マッサージの正しいやり方、そして知恵袋などでも議論される「筋肉痛マッサージはだめ」「逆効果になる」といった注意点まで、専門的な情報をもとに徹底的に解説します。筋肉痛の時にマッサージ店へ行くべきか、筋肉痛マッサージしていいのかどうか、もう迷うことはありません。
- 筋肉痛のマッサージが気持ちいい科学的な理由
- マッサージが逆効果になってしまう危険なケース
- 自宅で安全にできる正しいセルフマッサージの方法
- マッサージ店を利用する際の具体的な注意点と伝え方

なぜ?筋肉痛のマッサージが気持ちいい理由
筋肉痛を揉むと気持ちいいのはなぜ?
筋肉痛のときに患部を揉むと「痛気持ちいい」と感じるのは、主に2つの理由が考えられます。
一つ目は、血行が促進されることです。マッサージによる適度な圧迫は、筋肉とその周辺の血管を刺激し、一時的に滞っていた血流を促します。血液の流れが良くなることで、筋肉内に溜まった疲労物質の排出が助けられ、同時に筋肉の修復に必要な酸素や栄養素が運ばれやすくなります。この過程で、じんわりと温かくなるような心地よさを感じることがあります。
二つ目は、筋肉の緊張が和らぐことです。運動によって傷ついた筋繊維は、体を守るために硬直しがちです。この硬くなった筋肉を優しくほぐすことで、張りやこわばりが解放され、リラックス効果とともに気持ちよさを感じるのです。
豆知識:ゲートコントロール理論
「痛気持ちいい」感覚には、「ゲートコントロール理論」という痛みの伝達に関する仕組みも関係していると言われています。これは、マッサージによる「触覚」の刺激が、痛みを感じさせる「痛覚」の信号よりも早く脳に伝わるため、痛みを感じる神経のゲート(門)が閉ざされ、一時的に痛みが和らぐという考え方です。触られている心地よさが、痛みを上回る状態といえるでしょう。
筋肉をもみほぐすとどんな効果があるの?
筋肉痛の際に、正しい方法で筋肉を揉みほぐすことには、いくつかの具体的なメリットが期待できます。
1. 疲労回復の促進
最大の効果は、血行促進による疲労回復です。運動によって損傷した筋繊維の修復プロセスでは、多くの酸素と栄養が必要です。マッサージで血流を良くすることで、これらの回復に必要な物質を効率的に筋肉へ届け、修復を早める効果が期待できます。
2. 痛みの緩和
優しく揉むことで筋肉の緊張がほぐれると、こわばりによる痛みが和らぎます。また、血行が改善されることで、痛みの原因となる発痛物質がその場に滞留するのを防ぎ、排出を促す助けとなります。
3. 可動域の改善
筋肉痛になると、痛みや筋肉の硬直によって関節の動きが悪くなることがあります。マッサージによって筋肉の柔軟性を取り戻すことで、体の動かしやすさを改善し、日常生活への支障を軽減する効果も期待できます。
4. リラクゼーション効果
心地よい刺激は、副交感神経を優位にし、心身をリラックスさせる効果があります。ストレスの緩和は、質の良い睡眠にもつながり、結果として体の回復をさらにサポートします。
筋肉痛で押すと気持ちいいのは血行促進の証
筋肉痛のときに特定の場所を「押すと気持ちいい」と感じるのは、そこが特に疲労し、血行が悪くなっているサインかもしれません。
このような場所は「トリガーポイント」とも呼ばれ、筋肉のしこりのような状態になっています。ここを適度な力で圧迫すると、一時的に血流がせき止められ、圧を解放した際に一気に血液が流れ込むことで強い血行促進効果が生まれます。この血流の再開が、独特の「効いている」感覚や気持ちよさにつながるのです。
ただし、これはあくまで「気持ちいい」と感じる範囲での話です。「痛い」と感じるほど強く押し続けるのは絶対にやめましょう。強すぎる圧は、すでに傷ついている筋繊維をさらに損傷させ、内出血や炎症の悪化を招く原因となります。
筋肉痛マッサージ気持ちいい、は知恵袋でも話題
「筋肉痛のときのセルフマッサージ」は、Yahoo!知恵袋などのQ&Aサイトでも頻繁に話題に上るテーマです。
- Q「筋肉痛がひどいんですが、マッサージしても大丈夫ですか?揉むと気持ちいいんですけど、悪化しないか心配です…」
- A
「軽くさする程度なら血行が良くなっていいですよ!」「いや、炎症を起こしているから触らないほうがいい!」
このように、さまざまな意見が飛び交い、結局どうすれば良いのか混乱してしまう方も少なくありません。意見が分かれるのは、マッサージの「やり方」「強さ」「タイミング」によって、効果がプラスにもマイナスにも働くからです。
この記事では、そうしたネット上のさまざまな情報に惑わされないよう、専門家の見解を基にした「正しい答え」を具体的にお伝えしていきます。
結局、筋肉痛はマッサージしたほうがいいですか?
結論から言うと、「急性の炎症期を過ぎた後、正しい方法で優しく行うのであれば、マッサージは筋肉痛の回復に有効」です。
重要なのは、「タイミング」と「方法」の2つです。
要素 | 推奨される対応 |
---|---|
タイミング | 運動直後や、痛みや熱感が最も強い時期(急性期)は避ける。痛みが少し落ち着き、「動かすと痛い」くらいの時期(亜急性期)に行うのがベスト。 |
方法 | 「痛い」と感じるほどの強い圧は絶対にNG。さする、なでる、手のひらで優しく圧をかけるといった、心地よいと感じる範囲の刺激に留める。 |
逆に、これらのルールを守らないマッサージは、回復を遅らせる「逆効果」になる可能性が非常に高いため、注意が必要です。
筋肉痛の時、マッサージ店は利用していい?
セルフケアに自信がない場合や、より高いリラックス効果を求める場合、プロのマッサージ店を利用するのも一つの選択肢です。ただし、利用する際にはいくつか重要なポイントがあります。
マッサージ店利用時の3つのポイント
- 事前に「筋肉痛」であることを伝える
予約時や施術前のカウンセリングで、必ず「運動による筋肉痛がある」ことをセラピストに伝えましょう。どの部位が、いつから、どの程度痛むのかを具体的に説明することが大切です。 - 強い施術は避けてもらうようリクエストする
「強めのマッサージが好き」という方でも、筋肉痛のときは例外です。「今日は筋肉痛なので、優しめにお願いします」「痛いと感じたらすぐに伝えます」とリクエストしておくと、セラピストも状態に合わせた施術がしやすくなります。 - リラクゼーション目的のコースを選ぶ
指圧や強い圧がメインのコースよりも、オイルを使って滑らせるように施術するコースや、ストレッチを取り入れたコースの方が、筋肉痛のケアには適している場合が多いです。
信頼できるセラピストは、筋肉の状態を的確に判断し、最適なケアを提案してくれます。コミュニケーションをしっかり取ることが、安心して施術を受けるための鍵となります。

実践編!筋肉痛マッサージで気持ちいいケア方法
筋肉痛マッサージしていいのか判断する基準
マッサージを始める前に、まずは自分の体の状態をチェックし、本当にマッサージをしても良いタイミングなのかを判断することが不可欠です。以下の基準を参考にしてください。
マッサージをしてもOKな状態
- 痛みがあるものの、日常生活に大きな支障はない
- 患部に熱っぽさや腫れがない
- 運動してから24時間以上が経過し、痛みのピークを過ぎたと感じる
- 押すと「痛気持ちいい」と感じる程度
マッサージを避けるべき状態(NG)
- ズキズキと脈打つような強い痛みがある
- 患部が熱を持っている、または赤く腫れている
- 何もしなくても痛い(自発痛)
- 動かすのが困難なほどの激しい痛みがある(肉離れの可能性も)
まずはアイシング(冷却)を!
患部に熱感や腫れがある場合は、マッサージではなくアイシング(冷却)を優先してください。これは筋肉が激しく炎症を起こしているサインです。この状態で温めたり揉んだりすると、炎症が悪化し、回復が大幅に遅れてしまいます。氷のうなどで15分~20分程度冷やし、まずは炎症を抑えることに専念しましょう。
やってはいけない筋肉痛マッサージはだめ
良かれと思ってやっているケアが、実は筋肉の回復を妨げているかもしれません。以下のようなマッサージは、筋繊維をさらに傷つける可能性があるため絶対に避けましょう。
これはNG!危険なマッサージ方法
- ゴリゴリと強く揉む
「しこりを潰す」ようなイメージで強く揉むのは最も危険です。内出血(あざ)や筋膜の損傷を引き起こします。 - 患部を強く叩く
パンパンと叩く行為も、傷ついた筋肉への直接的な打撃となり、ダメージを増やすだけです。 - 痛みを我慢して続ける
「痛いほど効く」は間違いです。体が「痛み」という危険信号を出しているのに、それを無視して刺激を続けるのはやめましょう。 - 長時間のマッサージ
同じ箇所を長時間しつこくマッサージするのも、オーバートリートメントとなり、筋肉への負担が大きくなります。
コンディショニング・トレーナーの有吉与志恵さんも、「指圧などで揉み返してあざになるのは、内出血している証拠」と指摘しており、強すぎるマッサージの危険性を警告しています。(参照:健康美塾® by 第一三共ヘルスケア)
強すぎるマッサージは逆効果になることも
強すぎるマッサージや不適切なマッサージが引き起こす最も代表的なトラブルが「揉み返し」です。
揉み返しとは?
揉み返しは、強い圧によって筋膜や筋繊維が損傷し、炎症を起こしてしまった状態を指します。これは、マッサージによるケガの一種です。
症状としては、
- マッサージを受けた箇所が、以前よりも痛む
- だるさや凝りがひどくなる
– 頭痛や吐き気を伴うこともある
といったものが挙げられます。この状態が3日以上続く場合は、揉み返しの可能性が高いです。
「好転反応」との違い
マッサージ後の一時的なだるさには、「好転反応」と呼ばれるものもあります。これは体が正常な状態に戻る過程で起こる自然な反応で、通常は1~2日で治まります。しかし、筋肉痛のケアにおいて強い痛みが出ることは基本的にないため、「痛みが強くなった=揉み返し(悪化)」と考えるのが安全です。
揉み返しが起きてしまった場合は、その部位をさらにマッサージするのはやめて、炎症が起きているケガと同様に、安静にして冷やすなどの対処が必要です。
正しい筋肉痛マッサージのやり方とは?
自宅で安全かつ効果的にセルフマッサージを行うための、正しいやり方をご紹介します。
1. 準備:滑りを良くする
摩擦による肌へのダメージを減らし、スムーズに手を動かすために、マッサージオイルやクリームを使いましょう。リラックス効果のあるアロマオイルなどを使えば、心身ともに癒やされます。
2. 基本的な手法:「軽擦法(けいさつほう)」
専門家が最も推奨する方法は、「さする」ことです。これを「軽擦法」と呼びます。
- 手のひら全体を使う:指先に力を入れるのではなく、手のひら全体を筋肉に密着させます。
- 心臓に向かってさする:血液やリンパ液の流れを助けるため、体の末端から中心(心臓)に向かって、一方向に優しくさすり上げます。
- 筋肉の走行を意識する:筋肉がどのようについているか(筋肉の走行)を意識し、その流れに沿ってさするとより効果的です。
「物足りないかな?」と感じるくらいの優しい圧が、筋肉痛のケアには最適な強さです。
3. マッサージガンの使い方
マッサージガンも人気ですが、使い方には注意が必要です。
- 弱い振動で使う:最も弱いレベルの振動から試しましょう。
- 広範囲に当てる:一点に集中させるのではなく、広い面で筋肉全体に軽く当てるように動かします。
- 骨には当てない:骨に直接振動を当てると、痛みやケガの原因になるため絶対に避けてください。

筋肉痛のマッサージは気持ちいい?正しいやり方と逆効果になる注意点 総括
- 筋肉痛のマッサージが気持ちいいのは血行促進と緊張緩和が理由
- 正しい方法ならマッサージは筋肉痛の回復を助ける
- 熱や腫れがある急性期はマッサージを避ける
- アイシングを優先すべき場合があることを理解する
- 「痛い」と感じるほどの強いマッサージは逆効果
- 強く揉む、叩くといった行為は筋繊維をさらに傷つける
- セルフケアの基本は「優しくさする」こと
- 手のひら全体を使い心臓に向かって一方向に動かす
- オイルやクリームを使うと肌への負担が少ない
- マッサージガンは最も弱い振動で広範囲に使う
- 揉み返しはマッサージによるケガの一種である
- マッサージ店では「筋肉痛」であることを必ず伝える
- プロに頼む際も強い施術は避けてもらう
- 正しい知識を持つことが安全なケアの第一歩
- 自分の体の声を聞き、無理のないケアを心がける